4月に読んだ本
3月の終わりに『モンスターハンター ライズ』を買った。カプコンの有名なハンティングアクションゲームの最新作。ちょうど、ハリウッドで実写映画化され、それがゲームを一ミリも知らない人間からすると、とても面白かった。結局、映画を見た足で、そのままゲームも買ってしまった。
初めはゲームの操作が難しくて、「私には早かったかも…」と思ったが、慣れてくるとモンスターを狩るのが楽しくて、仕事がない日は1ヵ月間ほぼやっていた。(4月29日時点のプレイ時間は60時間くらい)
ちなみに、今のところ犬科動物好きとしては、狼をモチーフにしたジンオウガがめちゃくちゃ琴線に触れた。
というわけで、ゲームばかりしていたら4月は2冊しか本が読めなかった。
うーん、本もゲームも映画もバランスよく摂取したい。
<以下、本のネタバレ有>
◼️『アニーはどこにいった』著:C.Jチューダー
ここ数ヶ月、『裏世界ピクニック』を読んでいたら、久しぶりに小説でめちゃくちゃ怖いホラーが読みたくなっていた。ホラー映画も見たりするけど、映像で虚構を作り上げることには限界があるし、結局文字という限られた情報から自分の脳内で映像を想像する事が「自分が一番怖いと思うこと」なのでは?と思った。
物語の舞台はイギリスの田舎町。昔は栄えていた街だが、今は廃坑と退屈しかない土地。
主人公、ジョー・ソーンはギャンブルで出来た借金を抱えて、この田舎町に帰郷する。
本来ならば一度捨てた故郷など帰ってくるつもりはなかったが、街では残忍な事件が起きジョーの元には、気になるメールが届く。
作者の前作『白墨人形』がどうやら面白いらしい、と聞いていたので出版されたばかりの最新作の方から読んでみた。
早速、残忍な事件現場に警察が踏み込んでくるプロローグがめちゃくちゃ面白い。たった5ページ程度の文章に緊張感と嫌な雰囲気が漂う。これは、怖くて面白いホラーミステリーが読めると思った。
たしかに、田舎町の閉鎖的な雰囲気と人間関係の中で、主人公に降りかかる怪奇的な出来事は怖い。そこに主人公の過去の事件も描かれるので、ホラーとミステリーの量は申し分ないのだけど...。なんだか、ボタンが掛け違ったように「そうじゃないんだよぁ」と言いたくなるような流れが続く。
たしかにプロローグの文章は凄く怖かったはずなのに、実際に主人公に襲いかかるホラー現象が、トイレから虫がめちゃくちゃ湧き出てくる、とか「たしかに嫌だし怖いけど...」と言いたくなる微妙さ。
そのあとも、異様に虫がフィーチャーされたホラー現象が続くので、「きっと虫が何かの伏線なのかも」と思うが、一切物語には関係ないという。
これで、ミステリー部分がめちゃくちゃ面白いとかなら楽しめるけど、「え、その程度なの」という特段驚くような展開もないので拍子抜けするくらいである。
あえて言うなら、たまに出てくる主人公の友人というフワッとした立場の人間が主人公が借金をしている貸金業者の親玉だったという展開くらいか?しかし、それもあまり物語に関係はない。
でも、なかなか憎めないのは、作者がスティーブン・キングの大ファンということでキング作品への豊富なオマージュが散りばめられていて、ホラーやサスペンスが好きなのだと感じられるところ。翻訳も読みやすく、基本的にすらすら読めるので「ここまで読んだし最後まで読んじゃおうか」となれる。まぁ、そのおかげか、370ページというまぁまぁな厚さを読むことになってしまったが。
そんなわけで、4月に入って最初に読んだ本が微妙な結果になってしまったのもあり、読書欲が少し失せてしまった。
◼️『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』
著:花田菜々子
というわけで、失せた読書欲のまま難解な本を読んでも、もっと嫌になるだけだろうと思い比較的エンタメ感のある本を次にチョイスした。
ストーリーはタイトルそのものズバリ、出会い系に登録してマッチングした相手に本を勧めるというもの。
マッチングアプリというと恋愛関係を築くためのサイト、というイメージだが作中で出てくるサイトは恋愛のみに限定されていないらしく本を勧めるという活動がしやすいらしい。
出会った人たちに本を勧めるという活動も面白いのだけど、マッチングする人たちの個性の豊かさにどこか癒される。また、作者はその個性的な人たちに、絶妙に上手くマッチした本を勧める。
そのうちに、多くの人と出会うことにより違うコミュニティに参加し、そこで新しい出会いがありと数珠繋ぎのように他人と新しい関係を築いていく。
また、作者はヴィレッジヴァンガードで働いていた経歴もあり、実際に出てくるヴィレヴァンの話も面白い。
サブカルに特化したお店だったのが、近年大型ショッピングモール用に有名なキャラクターグッズをお店に並べなければ売り上げが伸びないなどの話は少し切なかった。
それにしても、作者の本への知識量が多いと驚かされた。ありとあらゆるジャンルの本を網羅し相手に合った本を見つけるのだから凄い。
そう思ったら、たった一冊読んだ本が自分に合わなかっただけで読書欲が落ちてしまう自分が少しバカらしくなった。もっと色々な本が読みたい、色々な人に出会いたい。次に読んだ本がこの一冊で良かった。自分の読書センスを少し褒めようと思う。