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12月に読んだ本

 結局2021年に間に合わず、最後の最後に12月に読んだ本について。

 

◇12月に読んだ本◇

■『心はどこへ消えた?』著:東畑開人

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  コロナが流行ってから、占いやスピリチュアルなものへの需要が増えたと聞いた。目に見えないものに怯えるのに、目に見えないものにすがるとはどういう事なのだろうかと思うが、結局は目に見えないものを強く信じているから怯えるし、すがってしまうのかと思った。

私も時々、自分の自信のなさに人生を他人に預けてしまいたくなる。そんなことを考えていると、いつか本当にスピリチュアルな感覚にハマってしまうのではないかと怖くなってくる。そんな現実離れした事じゃなくても、例えば本屋に売っている自己啓発本や他人のエッセイ本などに傾倒してしまうかもしれないと思っていて。

 

 12月は仕事の中で悩みがあり、それを誰にも相談出来ないまま悶々としていた。誰かに話を聞いてもらいたい、何か答えがほしいと思案した結果、ある程度カウンセラーとしての実績があり、経歴がハッキリとしている人の本ならば穿った見方をせずに読めるのではと思った。そこで手に取ったのが本書だった。

 私はずっと「自分自身の心をどれだけ大事にして良いのか」が分からなかった。分かりやすく言うと、「みんな我慢しているから」と大きな集団や物語の流れに心を投げるべきなのか、自分の気持ちを尊重するべきなのかが判断できなかった。

 この本は2020年5月から2021年に週刊文春で連載していたエッセイをまとめたものになる。コロナ真っ只中での連載だったが、作者は「これはコロナについての本ではない」と綴る。本当に問題なのは、大きな物語、数字たちに消されてしまう「心」だ。大きな物語の前では、一個人の心は軽視されてしまう。一体心はどこへ行ってしまったのか?

自分の「心」に向き合ったとき、とても苦しかった。こんなものなければ良かった、もっと大きな物語に身を委ね冷酷に生きれればどんなに楽だっただろうかと。

だけど、この「心」のお陰で私は誰かと繋がれた。この本を読んでいて「心」を大切にしていいと教えてもらった。

 

 最後に、出会いを意味する“Encounter"という言葉の語源は、「敵と出くわす」なのだそう。他者との出会いは、大きな喜びにもなるが、傷を負う可能性も秘めている。

しかし、敵かも知れない他者を受け入れていくことが私たちの心を深くすることがある。